蹴球魂!!!!

「じゃあ、GKから」

部長のその言葉に、俊介の肩が小さく跳ねた。

「…田原 俊介!!」

「はいっ!!」

名前を呼ばれた俊介は、小さくガッツポーズをして、口パクであたしに、“ありがとう”と言った。


普段はおちゃらけて、ふざけてるように見える俊介。

だけど実は人一倍努力家だった。


“まーちん!!!!”

“今日からメンバー発表の日まで、俺に向かってガンガンシュート打ってくれない??”

あの練習試合の日の夜、俊介はそう言って、あたしに頭を下げた。

“そんな…あたしで良ければ何本でも打つよ♪”

“本当!?助かるっ!!!!”

俊介との特訓の日々は、正直言って過酷で、とにかくつらかった。

“俊介、今日はこの辺で…”

終わりにしよう、と言おうとしても、俊介はそれを許してくれなかった。

“お願い!!あと20本だけ!!”


つらかったけど、やってよかった。

俊介が選ばれて、俊介の努力が実って、本当によかった。


俊介、本当におめでとう。


「次、DF」

俊介の興奮が収まった頃、部長が低いトーンでそう告げた。

ードクン

飛鳥の、ポジション。

飛鳥は、選ばれるのかな…??


「…森山 飛鳥!!」

「!!…はいっ!!!!」


飛鳥が、俊介に目配せをした。

2人とも、本当に嬉しそうで、凄く羨ましかった。
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