蹴球魂!!!!
“俺、円がサッカー部入るっつーから入ったんだよー”

あの日の電話で、飛鳥はそう言ったけど…本当は違うと思う。

そんな理由だったら、毎日の練習に耐えられなくなるはず。

サッカー好きのあたしでさえ、つらかったんだもん。


あんな事言ったけど…飛鳥は心からサッカーが好きなんだよ。


…ちょっと気まずいけど、おめでとう。


「次…MF」

部長の言葉に、スッと背筋を伸ばすのは晃汰。

…自信ありすぎでしょ。


晃汰は、初めからそんなだった。

“俺、お前と違って超得意だから。悪いけど、全国優勝してるし”

“お前がサッカー出来んの??"


あたしを馬鹿にしたような事しか言わなくて、ムカつく奴。


「…浜口 晃汰!!」


…それぐらいムカつく奴なのに、やっぱり上手い。


「はい」


ちっとも嬉しそうな顔をしない晃汰。

…もっと喜べよ!!!!


喜ばない奴に、おめでとうなんか言ってやらないし。


勝手にブスッとしてろーっ!!


「んじゃーラスト、FW」

1人、心の中で騒いでたら、いつの間にかFWの番が回ってきた。


ードクンッ


心臓が大きく跳ねたのがわかった。


…大丈夫、大丈夫。

あたしは胸を撫で下ろしながら、大きく深呼吸した。
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