蹴球魂!!!!
ードクンッ


唯斗、先輩。

胡桃の、好きな人。


チラっと胡桃を見ると、前と同じようにキラキラした瞳で唯斗先輩を見つめてた。

胡桃の気持ちに、嘘なんかなかった。


そんな簡単な事に気付けなくて、ごめんね…。


「んーと、だいたいどんぐらいかかるかだけど…」

唯斗先輩が、リングノートを片手に話し出す。

その凛々しい顏に、普段はないメガネがかけられている。


…うん、典型的なイケメン像だなー……。

っておい。


今は重要なお金の話してるんだから、ちゃんと聞かなくちゃ!!!!


「移動費が……」


とは思ったものの、唯斗先輩の言葉なんて微塵も入って来ない。

その理由はもちろん胡桃の赤い横顔。


…あたし、凄く弱い。

臆病者で、情けない。


もっと、もっと強くなりたい!!

心の強い人間になりたい!!!!


ゆっくりと、変えていこう。


そんな事を考えてるうちに、長かったミーティングも終わり、部員たちが次々と部室を出て行った。


「まーちん、俺らも帰るべー!!」

「あ、うんっ!!」

「…亀」

「うるさいっ!!!!」


って、今はそれどころじゃない!!!!
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