蹴球魂!!!!
「……10、11…っと」


赤も黄色も全部あるね!!!!

よし、早くしまって部室行こうっと!!!!


「ぅ…」


ん??

誰か…いる??


サッカー部の倉庫を出た所で聞こえた、微かなうめき声。

出た…とか、ないよね????

あたし怖いのとか大っ嫌いですから!!!!


「……。」


息を潜めて、うめき声のする方へ向かう。

その声の主は、部室棟の裏にいた。


彼の手は、太ももを押さえていて、滴る汗の量がその痛みを表していた。


「く…」


苦しそうに彼が顔を上げた。

やっと見えた横顔。

あたしは、言葉を失った。


「あ…す、か……??」

掠れてほとんど音になってないあたしの声。


そこにいたのは…飛鳥だった。


あたしに気付かない飛鳥は、グッと足に力を入れて体勢を整えた。


ーパンッ

部室棟の裏で響く、乾いた音。

それは飛鳥が両手で自分の頬を叩いて気合いを入れた…その音だった。


…飛鳥??


スタスタと部室へ向かう飛鳥の背中を追って、あたしも部室へと入った。
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