蹴球魂!!!!

ニッと白い歯を見せて笑う俊介に、胸の奥がツキンと、針が刺さったように痛んだ。

知らなかった、俊介の過去。


いつだって明るかった俊介が、1人で背負っていた、柚梨ちゃんの存在。


隣をチラッと見ると、晃汰も動揺したように視線を泳がせていた。


そんなあたしたちを見て、俊介はふふんと偉そうに胸を張った。

「俺ってかっこいい!!!!」

「「え」」

何を言うのかと思ったら…自画自賛スタート!?


「ククッ…。さすが俊介だな」

「え!?さすが!?ま、まーちん聞いた!?晃ちんが俺の事、さすがって!!!!」

「げ。元戻りやがった」

「ぶふっ…!!晃汰、ご愁傷様ー☆」


2人を置き去りにしようと走り出すと、晃汰も後を追いかけてきた。


「俺はもうちょっとこの余韻に浸ってんねー♪」

あたしたちは、そんな俊介の呑気な言葉を背に、外周を再開させた。


「それにしても…意外、だよな」

「うん…」


走りながらも、柚梨ちゃんが頭から離れない。


「俺、あいつの事、ちょっと見直したわ」

「あたしも」

「俊介の努力は、妹の存在が原動力なんだな」

「本当…GKとしては小さすぎるのに、よく頑張ってるよね」

「もし双子で産まれずに未熟児じゃなかったら…もっといい選手になってたかもしれないのにな」

「でも、もし柚梨ちゃんがいなかったらGKやってなかったかもよ??」

「ははっ、確かに」


久しぶりに見た、晃汰の優しい笑顔に、あたしの心臓は小さく飛び跳ねた。
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