蹴球魂!!!!
ーピピッ


先輩のホイッスルの音に、規則的に動いていたボールがピタッと止まる。

結局、音が聞こえるまでその2人のリフティングは途切れる事がなかった。


あたし…こんな人たちと闘ってるんだ。


…やばい。不安になってきた……。


「次のペア準備して!!」

「あ、はい!!…ほら円ちゃん、行くよ!!」

「…ん」


ードクン ドクン


うるさいぐらいに心臓の音がする。

周りの音が聞こえなくなるぐらいの心臓の音に、なんか余計に緊張してしまう。


前に比べれば出来るようになったリフティング。

でも、そうとは言え…先輩たちみたいに、あんな長い時間、リフティングを続けられた事は1度もない。

しかもあの時に佐伯くんに勝って以来…あんまり練習してなかったかも。


って!!


「それじゃ駄目じゃん!!!!」

「「え??」」

あたしに集まる視線。うわ、やらかした…。

「な、なんでもないですー」


これ以上注目されたら、あたしの下手さが際立っちゃうじゃん!!


「まぁとにかく始めるぞ」

「「はい!!」」


グラウンドにあたしと佐伯くんの声が響く。

集中集中…!!

ここでミスしたら、スタメンなんて夢のまた夢だよ、あたし!!!!
< 279 / 394 >

この作品をシェア

pagetop