蹴球魂!!!!

「胡桃…」


鼻の奥がツンとして、胡桃の優しさに思わず泣きそうになった。


「私だって円と同じで飛鳥が心配だよ。何があったのか凄く知りたい」

あたしと同じように、ペースを落としながら胡桃は続けた。

「だけど私にはそのペースで完走する体力なんか無いし、円だってそのペースじゃ足壊すだけ。…余計、飛鳥が心配するだけなんだよ??」


“余計、心配するだけ”

確かにそうかも。飛鳥ならありえる。


優しくて、自分の事よりあたしの事を心配して気遣ってくれる飛鳥。


「胡桃…ありがとう」

「ん♪じゃあ頑張って完走目指そうねっ」

「うん!!目指せ1、2フィニッシュ!!!!」

「ま、円さん??」


アハハって笑いながら、マラソンコースを2人で並んで走る。

徐々にペースを上げていって、ゆっくりと先頭との距離を縮める。

サッカー部の意地、見せなきゃだもんね??


「あ、来た来た!!まーちん、くーちん、頑張ってー!!!!」

「亀の巻き返しはんぱねぇな」

「ま、円ちゃん…ペース落としたほうがいいんじゃない??」

「佐伯、お前負けそうじゃん」

「本当だよ…。勝負挑んだ俺って一体……」


走り終えた男子が女子の応援のためにコースの脇にいる。


「円ちゃん、あと13人抜けば1位だぞー!!」

「意地見せろー!!」

「練習の成果、発揮しろー!!」


っていうかここ、サッカー部だらけだね…。

しかも13人抜けばって!!その集団のほとんどが陸上部ですけどっ!!


キツいー!!!!
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