蹴球魂!!!!
気付いた時にはもう遅い。

誰かから上げられたセンタリングに気付かなかったあたしは、そのパスを顔面で捕らえた。


「女の子は大人しく引っ込んでよーねぇ??」

「っ!!」

このムカつく喋り方は…!!!!

「これ、生かしてみるから、よぉーく見ときなよ??足でまといちゃん♪」

「…むっかつく……!!!!」


ムカつくけど、凄いムカつくけど、10番の言ってる事は正しい。

今のだって、あたしがボーッとしてなかったら得点に繋がってたかもしれない。

ボーッとしてたせいで、せっかく皆が持ってきたボールを取られた。


…あたし、何してるんだろう??


「大輔先輩!!約束守ってください!!!!」

その時、ベンチから声が聞こえた。

時計を見ると、試合時間は残り10分…飛鳥が出ていいって言われた時間になっていた。

「じゃあ、出てこい!!!!」

意を決したようにそう言い切った大輔先輩の横顔は、ちょっと辛そうだった。


「円、俺絶対円にパス回すから…それを信じて、最前線で待ってて」

力強い、飛鳥の言葉。

「わかった。信じるよ!!」


それは、ロスタイムの事だった。

飛鳥の怪我で、ロスタイムが6分もあって、2-0だったら追いつかれる可能性もあった。

だけど、飛鳥は有言実行してみせた。


「円!!」

大きなロングパス。

オフサイドギリギリの所で飛び出して、ただ無心になって打った。

皆が頑張ってくれたんだもん、あたしも頑張る。

…入れ!!絶対絶対入れーっ!!!!


ーピッ ピッ ピーッ


「えー、まぁそういう事で。3-0で、○○高校の勝ちです」

「「ありがとうございましたぁっ!!!!」」
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