蹴球魂!!!!
「“楠木 円の右足を、一生サッカーが出来ない足にしてやる”って言われた…らしい」

「「っ……!?!?」」


な、何…それ……!?

なんであたしが隣高に目をつけられなきゃいけないわけ!?


“楠木 円の右足を”

“楠木 円の右足を、一生サッカーが出来ない足にしてやる”


“右足を”


“一生サッカーが出来ない足”


「……も、もしか、して…」

ゾクッと背筋に寒気がして、膝がカタカタと震え出す。


隣の晃汰も、信じられないって言いた気な顔で俊介を見つめている。


…ちょっと待ってよ。

信じられない。って言うか、信じたくない。

冗談だよね??勘違い??思い込み??

…そんな事、あり得ないよね……????


そんな儚い願いも虚しく、俊介は眉間にシワを寄せて呟いた。

「まーちんには一切手を出さないっていう約束の代わりに、まーちんが受けるはずだった痛みを、代わりに受けたんだよ」


ポタッと大粒の涙がコンクリートの地面を濡らした。


「嫌だよ…」

自分が。

「嫌、だよっ…」

隣高の奴らが。

「嫌だよぉっ…!!!!」

優しすぎる、飛鳥が。


だってあたしは、飛鳥の気持ちに応えられないのに。

一度だって、飛鳥の気持ちを受け入れる事をしてないのに。

晃汰しか見えてないのに。


「森ちんは、優しすぎるよね」

「飛鳥…あいつ……っ!!」


どうしてそんなに、あたしの事を大切に想ってくれるの…!?
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