蹴球魂!!!!
あたし、最低すぎる。

だからって飛鳥を選ぶの??

…晃汰と別れて、今までの分も飛鳥を好きになるべき??


いつだって飛鳥は、どんなあたしでも好きでいてくれて。

“俺、円が好きだ……”

あの図書館でストレートに想いを告げられた。

“誰よりも先に話しかけて、誰よりも先に円の頭に残っていたかった”

初めて言われた、飛鳥の本心。

“円は笑ってろよ…”

飛鳥の想いには応えられないあたしをいつでも一番応援してくれた。


思い返せば思い返すほど、飛鳥はいい奴で、本当にいい男。

なんであたしは断っちゃったんだろうって本気で思うぐらいのいい奴。


「あっれー??皆…え??ちょ、え??どした…の??」

そんな時、背後から聞こえた声。

最初は陽気だったけど、語尾になるにつれてそれは動揺に変わった。


「「っ…」」

「え、は!?円泣いてるし!!何事!?」

「鈴木、空気読んでくれ…」

「…ハイ」


ちょっとシュンとした胡桃は、その後心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。


「ねぇ、晃と俊介」

「「何??」」

「円借りてもい??」

「「どーぞー」」


胡桃はその返事を聞くと、にっこり笑ってあたしを木の下へと連れて行った。


「はい、んじゃ悩んでる事全部吐き出して!!」

「え??」

「いいから早く!!」


あたしはいつもと違う胡桃に戸惑いながらも、晃汰と別れて飛鳥を好きになった方がいいのか悩んでる事を正直に話した。


ーパァンッ

「っ!?…く、胡桃……!?」

「馬鹿!!本当馬鹿!!そんな事されたって飛鳥は何も嬉しくないよ!?同情で好きになられたって、そんなの結局同情のせい。飛鳥はそんな事のために円を守ったわけじゃない!!」


そう言ってにっこり笑う胡桃。

「円を、円のサッカーを、円の笑顔を失いたくなかったんだよ」


ポタポタと涙が零れた。


「円、私が言いたい事、わかった??」

「うん…!!胡桃ありがと…大好きっ……!!!!」

「ふふふ♪」


あたしがそう言うと、胡桃はいつもと同じフワフワの笑顔を見せた。

そうだよね、飛鳥のためにも、あたしは笑顔でサッカーしなきゃ!!
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