蹴球魂!!!!
ニッと笑った唯斗先輩にフワッと軽めのセンタリングを上げる。

DF2人とGKは反応出来ずに立ち尽くしたまま。


その3人が反応する頃には、唯斗先輩は強烈なボレーシュートを放っていた。


―ザァンッ

「は、入ったぁ…!!」


唯斗先輩のシュートはほぼ無回転でゴールに吸い込まれ、GKは悔しそうに顔を歪めた。


「唯斗かっこいいー!!!!」

その瞬間、胡桃の声が聞こえて、それに続くように割れるような歓声が起こった。


1-0。

全国大会初めてのゴールをアシストしたんだ…!!


そりゃやっぱ自分で決められたらもっと嬉しいんだろうけど、これでも超嬉しい!!


「円ちゃん、ナイスパス」

「いやいや、唯斗先輩のシュートがよかったんですよ!!」

「そんな事ないけど…とりあえず、次は円ちゃんだよ」

「!!…は、はい!!」


ひゃー!!プレッシャー!!

でも、決めたい気持ちもあるし。

頑張るしかない!!


…って思ったんだけど……。


「晃汰!!」

「くっ…!!」


なかなかパスが回らない。


唯斗先輩のシュートが決まってから、全然チャンスがない。

むしろ危ない…。


「怒らしちゃったみたいだね、向こう」

苦笑いしながら言う唯斗先輩。

そう、さっきから目付きが超怖いんですよね…。


あたしにパスが回ってくると、執拗なマーク。

その目は本気で、一瞬怯みそうになる。

…けど絶対怯まない!!


「ったぁ…」

転ばされても立ち上がる。


「あっ」

ボールも取られたら取り返す。


「所詮、女だな」

「…は??」


今、女だって言われた??

いや、女で間違いないんだけど…なめられたって事だよね??


「許さん」


ボソッと呟いて、トップスピードに乗る。

あの背中に追い付いてやる。

あのボールを取り返してやるーっ!!


あと少し、あと少し!!


「っ!?」

と、届いたっ!!
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