蹴球魂!!!!
あたしはすかさずボールを奪って、ドリブルで上がっていく。

1人、また1人と抜かしていって、ゴールとの距離はどんどん近くなる。


「行かせるものか!!」

って目の前のDFが腰を低くして構える。

「円!!」

そんな時に聞こえてきたのは聞き慣れたあの声。

その声の主の元へパスを出した。

「晃汰っ!!」

「っし、走れー!!」


パスを受けた晃汰は大声で指示を出した。

あたしは言われた通りに走る。

晃汰は絶対パス出してくれるはず。


「円行けー!!!!」

予想通り、晃汰がボールを上げてくれた。

でもちょっと低い…!!

「っ!!」

入れ入れ入れー!!


―ザンッ

一か八かのダイビングヘッド。

決まってよかったー!!


「よし、このまま行くぞ!!」

「「おう!!」」


大輔先輩の言葉も虚しく、その後にシュートが入る事はなかった。


―ピッ ピッ ピーッ


試合終了を告げるホイッスルが鳴り、それと同時にあたしたちの初戦通過が決まった。


「さっさと控え室戻れ!!」

「「はい!!」」

「あの…」

「へ??」

大輔先輩の指示通り控え室に戻ろうとすると、誰かに手首を掴まれた。


「さっきは…悪かった」

「さっき、って??」

「所詮女だ、とか言って、お前の事ナメてた」

「あ、別に大丈夫っす!!」


あのおかげでスイッチ入った気がするし。


「や、でも本当にすんません。お前めっちゃ強かった」

「そんなー、照れるなぁ」

「次の試合も絶対勝てよ??ってか…優勝して欲しい」

「うん、わかった」


あたしたちは握手を交わして別れた。

ふふ♪

強かっただって!!


控え室に戻ると、部員は皆お祭り騒ぎ。

「お!!円ちゃん戻ってきたぞーう!?」

「「うぉぉぉぉぉ!!」」

え。


さっきまでは皆真面目そうだったのに、こうも変わるか。


「円、かっこよかった♪」

「胡桃!!ありがとー!!」


胡桃の天使のような笑顔にKOされて、あたしもだんだんおかしくなってくる。


「「祝!!初戦突破ぁー!!!!」」

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