蹴球魂!!!!
そして、その時は訪れた。


―ピーッ

試合開始のホイッスルが鳴って、沸き起こる歓声。


前大会準優勝校と無名校との試合…誰もが信じないだろう、無名校の勝利なんて。

だけどピッチ上にたった1人、それを信じる人がいた。


―ザンッ

開始わずか2分の事だった。

準優勝校のボールで始まった試合のはずなのに、シュートを決めたのは無名校…大悟さんだった。

彼は巧みな足さばきでDFの間をすり抜け、ゴールへまっすぐに向かっていった。

シュートは左上の隅に吸い込まれ、ボールはネットに突きつけられた。


「「……。」」

観客の誰もが黙り込んだ。

さっきまで勢いのよかった準優勝校の応援団も、全員があっけに取られて応援を忘れていた。


なのに、彼はニコリともしない。

無名校の応援団が静かに喜んだけど、それでおしまい。

また黙り込み、無名校の仲間たちは大悟さんに駆け寄る事もなく、守備位置へついた。

あたしはそれにただただ驚いていた。


「孤高の天才…って感じだな」

飛鳥の一言はまさに大悟さんをよく表していた。

「チームワークはゼロってか??」

晃汰は小馬鹿にしたようにそう言う。

「でも晃ちんより上手いよ??…悔しいけど」

「「いや、何で健司が悔しがってんの」」


だけど大悟さんの上手さは以上だった。

敵を目の前にするとそれは何倍にも膨れ上がって…手がつけられそうにない。


この試合の勝者とあたしたちが試合するんだよ…ね??


「お、また10番だ」

晃汰の少し嬉しそうな声。

あんたは不安とかないのか!?
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