蹴球魂!!!!
…な…に??


ビクビクしながら顔を上げると、そこには不機嫌そうな晃汰の顔があった。

何??何の用があるの?? …何で、機嫌悪いの??


聞きたい事は山ほどあるのに、目の前にいる晃汰があまりにも怖くて、言葉が何も出てこなかった。


「「………。」」

静まり返る廊下。そこに立つのはあたしと晃汰の2人だけ。

教室からは、俊介の楽しそうな笑い声が微かに聞こえた。


「なぁ」

沈黙を破ったのは、晃汰。だけどその表情はあまりにも怖くて…。

あたしは未だに声を出せずにいた。


「アイツ、マネージャーやんの??」

“アイツ”…それは絶対、胡桃の事。

「そうだよ??」

「……くっそ…」

「え??」

「あ、いや…何でもねぇよ」


そう言う晃汰の横顔は、何だかとても切なくて、見る度に心がズキズキした。


「ただ…俺なら、アイツをマネージャーにはしないと思う」

「え…??」


何で??…どういう事??


「このサッカー部は、サッカーが本気で好きな奴が集まってんじゃん。そこに、鈴木の個人的な色恋沙汰を混ぜてほしくない」


確かに、晃汰がそう考えるのも一理あるよ??

だけど、これはあたしの大好きな胡桃が決めた事。


「あたしは、胡桃がやるって言うなら止めないから」

「…もういい。勝手にしろよ」


いきなり不機嫌になる晃汰。本当、意味わかんない!!

あたしは、晃汰を無視してその場を離れた。
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