蹴球魂!!!!
晃汰の、何気ない優しさが、あたしの心を捕らえて離さない。

…やっぱりちょっと…ううん、凄く惹かれてたあたし。

自分の気持ちがどんどん大きくなっていくのがわかる。抑えきれない想いになってるのがわかる。


……初めは、晃汰の事なんか、大っ嫌いだった。


“早く歩けよ。…ったく…亀並みだな”

ムカつく事しか言わなくて、お互いケンカばっかりで。


“ お前のやる気っつーのは、そんなもんなわけ??”

“ 1人で立てないような根性もねぇ奴は、ピッチにいらねぇよ”

怪我をしたあの日、心が凄く痛かった。


“ ……円、無理さして…悪かった”

あたしの事を嫌ってた晃汰の、予想外の言葉に心が高鳴った。

晃汰に名前で呼ばれるなんて、思ってもみなかったから…。


“ 今回はお前の事…認めるよ。正直、お前があんなに根性ある奴だとは思ってなかった”

そして…認めてもらえた。

散々馬鹿にされ続けたあたしにとって、この言葉は凄く嬉しかった。


ーポタッ

ファミレスの机に、涙が零れる。溢れ出した涙が止まる事はなく、あたしはそのまま胡桃に連れられて打ち上げを抜けた。


「そんなに好きになってたんだね…」

胡桃が優しくそう言ってくれた。あたしはただ、頷く事しか出来なかった。


楠木 円、15歳。

初めての恋をしました。


気付いた時には、もう大好きになっていました。


……晃汰が…大好きになっていました。
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