蹴球魂!!!!
「そんなにかっこいい森山くんより、円は浜口くんのほうがいいの??」


飛鳥より、晃汰がいい…??

なんかそれは、違う気がする。比較するものなのかな??


「浜口くんと同中だった私から言うけど…本当に浜口くんでいいの??」

“浜口くんでいいの??”

胡桃、違うの。晃汰でいいんじゃない。

「晃汰がいいの。晃汰が、好きなの。」


前はあんなに嫌いだったのに、人間って不思議だね。

こんなにも、晃汰に惚れてるあたしがいる。


「…そっか。それなら、私、円の事めっちゃ応援する!!…森山くんはかわいそうだけど…」

あたしの気持ちを正直に告げると、胡桃は一瞬切なげな顔をしたあと、パァッと眩しい笑顔でそう言ってくれた。

…その切なげな顔は、前にも見た表情をしていた。


「今日も2人でお勉強でしょっ??頑張ってねぇーっ♪」

ニヤつきながら、嬉しそうにそう言う胡桃。

喜んでくれるのは嬉しいんだけど…怖いよ!?


「じゃ、円また明日ねー♪…頑張って♪」

“頑張って♪”の部分だけを耳元で囁いて、胡桃は帰っていった。


まったく…嬉しいけど、結構恥ずかしいよ!?


とか言いつつも、いつの間にか緩んでいる口元。

あたしって、単純!?


「円、帰ろ」

「っ!!…う、ん……」


あたしに声をかけてきたのは、紛れもなく飛鳥だった。


「今日の化学の授業でさ、高校初の実験やったじゃーん!?」

「あ!!炎色反応でしょっ!?」

「あー、花火がどーのこーのってやつか」


帰り道、あたしたちはいつものように他愛のない話で盛り上がっていた。
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