蹴球魂!!!!
4人で歩道いっぱいに広がるあたしたち。


自転車が来ると、どうしても2人ずつに分かれなきゃいけない。

ーチリン チリンッ

「あ、自転車…」


今までは、晃汰が大好きな俊介が、“晃ちーんっ☆”とか言いながらベッタリくっついてたから、飛鳥と2人になる事が多かった。


だけど今は……。


「ねぇねぇ飛鳥!!そういえばさぁーっ」

「ん??どうした??」


いつも通りの俊介の明るい口調。だけどいつもと違うのは…。


「ホモも、良いとこあんじゃん??」

「晃汰…今ぐらいホモって呼び方やめてあげようよ??」

「あ??嫌だ」


俊介が気を遣ってくれた(と思われる)おかげで、飛鳥と2人にならずに済んだ。

そして、これはきっと図ってやった事じゃないはずなんだけど…。


「お前、中途半端な態度取るのはやめとけよ??」

「そ…そんなのしてないし!!」


晃汰と、2人っきりで駅まで歩いていける。


“中途半端な態度取るのはやめとけ”

そんなのしてるつもりはないんだけど…飛鳥にとって、あたしの態度はどう映ってるんだろう??


少なくとも、晃汰の目にはそういうふうに映ってるって事だよね…。


「じゃーなっ☆」

結局、飛鳥とはほとんど話さないまま、飛鳥と俊介の最寄り駅に着いてしまった。


ーガタン ゴトン…


電車に揺られながら、あたしは静かに、晃汰の整った横顔を眺めていた。
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