苺花(イチカ)
ふと窓に目をやると、近くに駅が見える。


(彩…。 女の人かな…?)



列車が止まり、扉が開くとわずかに靴音がした。

誰か入ってきたのだろうか。

窓を眺めながらぼんやりと考えていると、
声をかけられた。

「あの…、隣いいですか?」

「あ…はいっ」

慌てて返事をする。


…小柄な子だった。
歳は自分と同じくらいか、それ以下。 明るい緑色の瞳と、ショートカットの茶髪がよく似合っている。



どこか動物のような雰囲気を与える少女だった。

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