僕の脳の痛い部分
僕らのヒーロー
なあ、ヒーロー、この現代にも正義ってあると思うかい?君が生きていた時代は悪と正義が綺麗に二つに切断できて、わかりやすい上下構成だったみたいだけど、僕が生きている現代はそう簡単に分類できるものじゃあないんだ。ホームルームで何かクラス内での決めごとがあったとき、司会のクラスメイトが一生懸命に話しかけているのに、その他多数は平気で無視をきめこむんだ。絶対にその他多数が悪なのに、多数の原則で、司会のクラスメイトが打ちのめされた結果になってしまう。なあ、ヒーロー、正義ってのは数に負ける弱いものだったのかい?そうして不条理と無秩序がクラス内を徘徊して充満し、悪の力が積っていく。助けてヒーロー!でもヒーローはもうこの現代に生きてはいないのだ。正義は大きく膨らんでいく悪に耐えきることなくどんどん萎んでいく。正義が正しいのに。正義こそが擁護されるべきなのに。なあ、ヒーロー、もしかしたら君は悪だったのかい?君が守ってきた時代はいつしか現代に流れ、僕のクラスは悪役ばかりが名を連ねてる。なあ、ヒーロー、君が守ってきたものはなんだったんだい?君の正義はどこだい?なあ、ヒーロー、もし君が正義なら、今、悪が蔓延るクラス内でただ一人正義として立っている僕に、発言する力をおくれよ。背中を押してくれ。背筋ががたがた震えているんだ。味方がいない四面楚歌の現状がひどくこわい。‥なあ、ヒーロー、こんな僕でも、君みたいになれるだろうか。僕はくっついていた上と下の唇をなんとかはなした。震える拳を握りしめる。ちゃんと僕の話をきけ、意見をいえ、と僕が今叫べることができたら、ヒーロー、君の後継者を僕にしてくれないか?僕は、現代のヒーローになりたいんだ。
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