僕の脳の痛い部分
拝啓、アナログ様
あいうえお、これだけでもう十分ではないでしょうか?そこに、かきくけこ、ぐらいは付け足してもいいけど。ねぇ、これで伝わると思いませんか?どこかの国はたった26の羅列を移動しただけで意思表示が可能なのでしょう、だったら、それくらいで十二分のはず。50音に、頭痛がする漢字の量に吐き気のするカタカナ、最近じゃあその26までが加わってきて、もう君からの手紙は私の脳味噌を視覚から突っつく厄介者になっております。けれど、私はれっきとした情の深いできた人間でありますから、そんな君の手紙に順した内容を書いているわけであります。しかしながら、今の世はディジタル、アナログは時代の敵になりつつあることを君はその心情に刻むべきと私は思うのです。けれど、まあ、君がアナログという逝ってしまった時代を愛する小奇麗で洒落た男であることは痛いほどに理解していますので、今、私がここまで書き連ねた381文字の説得はいささか不要でありました。しかし私はあくまでも思うのです。世はディジタル。脳味噌も神経も皆々様が自動的に動作してくれる便利な時代になったものです、と。心臓でさえも今や、錆びたら取り替える時代ですから。私にとって、未だ君が生の心臓をその胸に埋め込んでいることが驚きです。早く換えてしまいなさい‥、とまたこれは不要な文句でした。まあ、とにかく、早くディジタルの素晴らしさに気づくべきですよ。この身体になれば、文字なんて概念がなくとも、電波で意思疎通できますからね。ああ、便利様様!