あなたの思いは何ですか?
ガラガラッと勢いよく開けるドア

水姫はベッドの上で規則正しい呼吸をして寝ていた

さっきの女の人たちはもう帰ったらしい


「水姫・・・」


水姫を起さないように

そっとベッドの横のイスに座る

水姫は寝顔もキレイで

思わず見惚れる・・・


「好き・・・なんだよ・・・」


寝てる水姫に言っても意味がないのは解ってる

記憶のない水姫に言ったって

困らせるだけなのに・・・

思わずこぼれる私の思い

でもその言葉に偽りなんかなくて

本当に世界で一番アナタが愛しい

アナタの全てが大好きで

今、やっとその気持ちを自覚して

アナタに伝えたいと思ったの


「大好きなのに・・・・」


自分の目には涙が溢れる


「何で伝わらないの・・・?」


「伝わったよ?」


触れるたがいの暖かい唇

目の前にいる愛しい人

いきなりの事で意味が分かってない私を

優しい笑顔で笑うアナタ


「・・・・えぇぇ!?

 水姫!?」


ようやく現状を理解した一人の女の子

それを王子様スマイルで笑う一人の男の人


「先に言われちゃったね」


そう言って水姫は嬉しそうに

優しく笑いかけてくれる


「記憶を・・・

 私の事を・・・思い出してくれたの・・・・?」


コクリと頷く王子様

さらに溢れる涙

そんな私を

ちょっと困った表情で優しく・・・

優しく抱きしめてくれる

その一瞬がとても長い時間のように思えて

この時がずっと・・・

ずっと続けばいいと思うのは私だけかな・・・?



*


< 36 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop