あなたの思いは何ですか?
・・・あれ?

私いつから寝てたんだろう・・・

まだ眠い・・・


「起きましたか?」


「水姫・・・」


水姫は

優しく微笑んだ

でも

その笑顔は

私にはまぶしすぎる・・・

その笑顔は

私じゃない誰かにも

向けられていたんだよね・・・

私じゃない誰かを愛していた

私じゃない・・・

他の誰か・・・

誰と・・・?

つい口から出そうになる本音

聞きたい・・・けど

聞きたくない・・・

水姫の過去

水姫はもう大学生

私なんかよりずっと大人で・・・

私の他にも付き合っていた人がいる

・・・ワタシナンカデイイノ?

ふと頭をよぎる言葉

わかってる・・・

過去の事なんて考えても仕方がない

でも・・・

私は水姫みたいに大人になれないよ・・・


「千咲?」


黙りこんでいた私を

心配するかのように

名前を呼んでくれる水姫


「どうしたんですか?」


そっと抱きしめてくれて

決してムリには聞き出そうとはしない

暖かい水姫の体温が伝わってくる


「目が赤いですよ?」


何でもおみとうし

と言いたげな水姫の言葉が降りかかる

やっぱり水姫はズルイ・・・

そんな水姫も好きだよ・・・?

でも

今の私にはただ

子どもをあやすようにしかきこえない

こんな事しか思えない

自分の心の中を知られたくない

なんて自分勝手で

なんて幼い子どものようなんだろう・・・

自分を守る事しかできない

だから水姫には似合わない

もっと水姫に似合う人がいるんだよ

でも今だけは・・・

明日まで待ってほしい

だから今はこのままで・・・


*



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