【短】恋ごころ

「だって道具じゃん。男ってね、きっと誰とでもヤれんだよ。男からしたら誘ってきた女とヤれるってだけで最高なんだよ。浮気されてからつくずく思うよ」

「……」

「まぁ、男から見れば、誘う女は玩具にすぎないね」

「……」


もう返す言葉すら見つかんない。

あたしはタクヤの玩具?道具な訳?


あぁ、そういや言ってたっけ。あたしと寝る理由は、あたしが誘うからだって。

そっか、そうなんだ。あたしってタクヤの処理女って事か。


最悪だ。それってますます最悪じゃん。

イズミだってタクヤを狙ってる訳だし、絶対そんなのイズミとヤるに決まってんじゃん。


さっき食べた物…吐きだしそう…


「つーか、もしかして明日美、自分の事言ってんじゃないでしょーね!」


鋭く突き刺さってくる沙耶の言葉に顔をブンブン横に振った。

怪しい目つきで見てくる沙耶が本当に怖いと思った。


「そんなわけないじゃん。あたし好きな奴なんて居ないし」

「ホントに?」

「ホント、ホント」


うん、居ないよマジで。

想ってもくれないタクヤなんてもう知らない。もう、好きになるのやめよう。


疲れるだけだ。


< 22 / 72 >

この作品をシェア

pagetop