【短】恋ごころ

「あのっ、ありがとう」


歩き出す二人の背中に声を上げて叫ぶとリオさんは振り返って微笑みながら手を振る。

そんなリオさんが途轍もなく綺麗だと思った。


そういや、あのカケルって人とは付き合ってるんだろうか。

でもタクヤはリオさんの事、想ってんだよ?


「つか、どうでもいいや」


余計な事は考えないでおこう。

気分が下がる。


申し訳ない気分のまま受け取った真っ赤な傘に視線を落とし、あたしは遠慮なく頭上に傘を弾かせた。

どんよりとした真っ黒な空から真っ赤な色が広がる。


リオさんイコール赤って感じ。

そんな事を考えながら、あたしは家までの道を歩いた。


家に着いて直ぐ、少し濡れている身体が気持ち悪くシャワーを浴びた。浴びてすぐにあたしはベッドに寝転ぶ。

ボンヤリと天井を見つめながら、ふと気になった事を思いだした。


“最近、来ねーんだけど”


タクヤの事をそう言ってた。

つか、タクヤ何してんの?学校行ってないの?


連絡なんてしてないから全く分かんない。って言うかただ、あたしが避けているだけか。

もうこんなに時間が経っちゃうとどうしたらいいのかも分かんない。


それからの数日間もタクヤからの連絡なんて一切なかった。


でも、気になる事があって…




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