【短】恋ごころ

「あのさタクヤ…」

「その前に答えろよ」


あたしの言葉を遮ったかと思うと、タクヤは持っていたコーラを口に含んであたしを見た。


「え?」

「お前、訳わかんねーよ」

「……」

「突然怒り出すと思ったら突然避けっし、しかも突然現れやがって訳分かんねぇ」

「……」

「その理由聞いたら明日美の話聞いてやるから」


ズルイ。

タクヤはズルイって思ってしまった。


ま、確かに聞かれるかなって少しは思ってた。だけど、理由聞いたらあたしの話ってどうよ。

絶対言わなくちゃダメじゃん。


つか、考えてみれば理由なんて何もないし。

今更ながらに何に怒って避けてたのかもイマイチ不明。ただ、リオさんを見て嫉妬した自分と…後は何?

振り向いてくれない事?

あと、イズミが狙ってる事?


考えたらバッカみたいな事。


「得に…」

「は?」

「だから…得に理由は…」

「無いとか言うんじゃねーよ」


見事に突っ込まれた。
< 33 / 72 >

この作品をシェア

pagetop