【短】恋ごころ
「あのさタクヤ…」
「その前に答えろよ」
あたしの言葉を遮ったかと思うと、タクヤは持っていたコーラを口に含んであたしを見た。
「え?」
「お前、訳わかんねーよ」
「……」
「突然怒り出すと思ったら突然避けっし、しかも突然現れやがって訳分かんねぇ」
「……」
「その理由聞いたら明日美の話聞いてやるから」
ズルイ。
タクヤはズルイって思ってしまった。
ま、確かに聞かれるかなって少しは思ってた。だけど、理由聞いたらあたしの話ってどうよ。
絶対言わなくちゃダメじゃん。
つか、考えてみれば理由なんて何もないし。
今更ながらに何に怒って避けてたのかもイマイチ不明。ただ、リオさんを見て嫉妬した自分と…後は何?
振り向いてくれない事?
あと、イズミが狙ってる事?
考えたらバッカみたいな事。
「得に…」
「は?」
「だから…得に理由は…」
「無いとか言うんじゃねーよ」
見事に突っ込まれた。