【短】恋ごころ

でも、身体の関係だけなんて嫌だし。あたしだけ思っててタクヤは何とも思ってないのなら尚更嫌だし。

あたしはタクヤと“セフレ”って言葉だけで終わらせたくなんてない。


こんなに頑張ってたあたしって馬鹿じゃん。

化粧だって念入りにして毎日めんどくさいのに髪だって綺麗に巻いて…頑張ってたのに、あたし馬鹿じゃん。

誰の為に何の為にしてたのか今では意味不明だ。


誰か、ホントにいい人現われないかな…


「明日美ー!!」


不意に聞こえた叫ぶ声に思わず俯いていた顔を上げ、辺りを見渡す。

見渡す視界の中に飛び込んできたのは、大通りを挟んで反対側にいる沙耶。


沙耶はこっちに向かって大きく手を振っていた。


「何してんのー?」


手を大きく振りながら叫んだ沙耶は、目の前に走っていた車が途切れると勢いよくあたしが居る所まで走ってきた。


だけど、その沙耶の横に連れらって来た知らない男に、あたしの視線が向く。


「…誰?」


思わず男から沙耶に視線を送って問い掛けると沙耶はニコっと微笑んだ。
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