【短】恋ごころ
Round3
「ちょ、明日美!!」
次の朝、教室に入って速攻座ったあたしに弾け上がる声とともに姿を現したのは…沙耶だった。
その沙耶の顔を見た途端あたしの顔が引きつる。
「お、おはよ」
「おはよじゃない!!アンタ昨日勝手に帰ったでしょ!!」
言われるって分かってた。絶対言われるって分かってた。
眉間に皺を寄せた沙耶はあたしの前まで来ると勢いよくバンって机を叩きつける。
「ちょっと気分悪くなってさ」
「じゃあ、ちゃんと言いなよ!もーほんっと信じらんない。勝手に帰るなんてありえないし!」
「ご、ごめん」
「すっごい探しまくったんだから。電話掛けても出ないし!皆にも探してもらったんだから今度、謝んなよ」
「えっ、今度もあるの?」
「当たり前じゃん!!みんな心配してたんだから」
当たりちってくる沙耶に申し訳ないと言う気持ちより心がどんよりとした。
まさか、また行くなんてこっちがありえないっつーの!!
お陰でカケルくんとは出会うし、そんでおまけのおまけにタクヤの鍵だって渡されるし最悪だったんだから!!ってあたしが叫びたい。
沙耶は“まったく”って感じでため息を深く吐き捨て、前の席の椅子に腰を下ろす。
「沙耶…ごめん」
何であたしが謝んなきゃいけないんだよって心ん中で思いながらも眉間に皺を寄せている沙耶にとりあえず謝った。