【短】恋ごころ
そんな苛立ちのままあたしは何処へ行く事もなく速攻家へと帰った。
帰ってすぐに部屋に入ると、あたしの視線がテーブルへと釘付けになる。
そこに置かれている鍵を見た途端、またため息が口から漏れる。
Γどうしよう…これ」
テーブルにある鍵を摘んだあたしはジッと見つめる。
返してって言われても返せないんだよ。あんな事言っといて今更会えないよ。
どーせ今頃、イズミと会ってんでしょ?
別にタクヤと会うって決まってないんだけど直感的にそう思ってしまった。
ほんと、訳分かんない!
「最低!!」
つい吐きだしてしまった言葉とともに、あたしは手に持っていた鍵をドアに向かって投げ捨てた。
コンっと鈍い音が小さく響き、鍵が床へと落下する。
その鍵を睨みつけた後、あたしは視界を防ぐかの様にベッドに顔を沈めた。