【短】恋ごころ
Γちょっと明日美ってば!!こっち、こっち」
あたしの所まで来たと思えば沙耶はあたしの腕を強く引っ張る。
Γちょっ、沙耶!!」
椅子に座ってたあたしは勢い良くよく引っ張られた所為で足が縺れ、立った拍子に椅子がガタンと、音を響かせ転けてしまった。
だけど、そんなのどうって事ない沙耶はあたしをグイグイ引っ張り窓際で足を止める。
Γねぇ、あの人だよね?タクヤって人」
沙耶が指差す方向が見れない。なぜなら見たくないからだ。
なんでイズミをお迎えのタクヤを見なきゃいけないのか。なんて思うと腹正しくなった。
Γマジで付き合ってんのかなぁ…」
Γ……」
Γあの人、結構有名じゃん?やっぱ、そーゆー人ってイズミみたいな奴が好みなんかなぁ…」
Γ……」
Γ…にしてもお迎えってねぇ。っつか、イズミ今頃…つか、イズミじゃん!!」
一人ベラベラ話してた沙耶がいきなりイズミの名前を叫んだ。
その声に反応したあたしは無意識に振り向いてた。
振り向いた先は校門。そこにいたのはここからでも見える一人の存在。
やっぱ…タクヤだった。