【短】恋ごころ

Γ明日美!!さっさと出て来い!!」


イライラしてる様な怒ってる声のような…タクヤはあたしを呼び出す為にさっきよりも声を上げた。


ちょ、マジありえない!!

あたしの名前呼ばないでよ!!


Γねぇ、明日美――…」

Γごめん!!」


何か言いたげな沙耶を遮って、あたしは急いで自分の鞄を掴み、教室を出た。

これ以上叫ばれたら困ったもんじゃない!!


状況を考えてほしい。タクヤはこの状況が分かんないの?

あたし迷惑してるんだけど!!


Γおい、今からHRだぞ」


今から階段を掛け降りようとした時、すれ違った担任に運悪く出くわしてしまった。


そんな一瞬で言い訳すら思い浮かばなかったあたしは、何も言わずに掛け降りた。

背後から担任の声が降り注ぐなか、あたしは一刻も早くタクヤが居る所へ向かおうと走った。

靴に履きかえて昇降口の階段は急いで降りる。視界の先には退屈そうにあたしを見てるタクヤが居た。


Γちょ、辞めてよタクヤ!!」


タクヤの前で立ち止まり荒れた呼吸を落ち着かせようと必死だった。


Γは?何が?」

Γ何がって分かんじゃん!!あたし恥ずかしいじゃん!!みんな見てるじゃん!!」

Γつか別にお前が恥ずかしがられるような事してねーし」

Γだから叫ぶのが恥ずかしいの!!」

Γお前、叫んでねーじゃん」


話がつかないタクヤの自転車の籠を引っ張り、あたしは校舎から誰も見られない位置に足を進める。

それに釣られてタクヤも地面に足を付けて自転車を動かした。



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