【短】恋ごころ
「あんなに叫んだら、あたし後で何言われるか分かんないよ」
「だってお前、無視する挙句、携帯もでねーじゃん。さっきからずっと掛けてんのによ」
「えっ?」
掛けたの?口には出さなかったけど、あたしは肩に掛けていた鞄を少しズリ落として中から携帯を取りだした。
不在マークがくっきりと表し、着信履歴を見るとほぼタクヤで埋まってた。
それを見て思わず顔が引きつった瞬間、
「まさかお前、知らなかったとでも言うつもりか?俺が必死で掛けてんのによ」
Γ……」
眉間に皺を寄せるタクヤに思わず苦笑いで返す。
だってまさかタクヤがあたしに掛けるなんて思わなかったんだもん。
Γマジかよ…。つかよ、サボろーぜ」
Γは?」
Γだからこのままどっか行こうぜ」
Γタクヤ、サボってばっかり。制服着てる意味ないじゃん」
Γ行ってるっつーの」
Γ行ってないでしょ!!聞いたもん」
Γは?誰に?」
Γカケルくんに会った時、言ってたもん」
Γあー…。つかよ、お前返せよ」
Γえ?」
キョトンとするあたしにタクヤは更にグッと眉間に眉を寄せる。
ジッと見つめるあたしに、
Γ鍵」
タクヤはポツリと呟いた。