【短】恋ごころ
Γあー…」
忘れていた事にハッとして曖昧に呟き語尾を伸ばす。
ぶっちゃけ、そんな事忘れてた。
Γあー…じゃねぇよ!!すっげぇ前にアイツが明日美に渡したっつってたぞ」
Γあ、うん」
Γうんって、早く」
そう言ったタクヤはあたしに手の平を差し出す。
早く渡せよって言う仕草に実感戸惑う。
だって、何処いったか分かんないんだもん。
Γ今は…ない」
Γない?」
Γうん。家」
Γじゃあ後で取りに行く」
Γうーん…でも時間かかるかも」
Γは?」
Γ探すのに…」
Γえ?探すのにって意味分かねぇーんだけど」
Γ……」
Γお、お前。捨てたとか言うなよ」
Γいや、捨ててはないよ。ちょっと部屋ん中で投げてから見かけてないだけ」
そう言ったあたしにタクヤはさっきよりも一層、眉を寄せた。
Γはぁ!?お前、何してんだよ!!」
ちょっと声のトーンが上がったタクヤに、
Γだってタクヤの所為じゃん!!」
思わず張り上げてしまった自分の声にヤバって思ってしまい、素早く口を閉じた。
Γは?何で俺?」
当たり前に叫んだ声はタクヤに聞こえてて、タクヤはあたしの答えを聞き出そうとする言葉を投げ掛けてくる。