【短】恋ごころ

「何か俺さ、明日美にあんな事言われた挙句、突き放されるような行動とられて…考えてたらマジ笑えた。自分の馬鹿さ加減に」

「……」

「明日美との関係壊したくねーんだよな」


しゃべり続けるタクヤをチラッと見るとタクヤはタバコの煙を吐き出しながら地面を見てた。


つか、勝手!!

タクヤ、勝手すぎ。


関係壊したくないって冗談じゃない。あたしはタクヤのセフレでも道具でも何でもない。

結局は誰とでもいいんじゃん。


ヤる相手が居なくなったからって引きとめないでよ!!


「タクヤの言ってる意味、分かんない。はっきり言えばいいじゃん。ヤりたいならヤりたいってはっきり言えばいいじゃん」

「つか、待てよ。俺、今そー言う話してねーんだけど」


俯いていたタクヤの身体がスッと真っ直ぐになる。

タクヤを見てなくても目尻から見える視線の先で分かる。


「だってそー言う話の内容じゃん」

「いや、だからそーじゃなくて…」

「あたし…もう嫌なんだよ」

「……」

「タクヤ…リオさんの事好きって言ったでしょ?」

「あぁ」

「タクヤは言ったよ。あたしと寝る理由はあたしが誘うからだって。そりゃそうだよね…けどリオさんの事考えてるタクヤとは寝たくないんだよね」


だってマジで辛いもん。

もう限界で我慢出来ないんだもん。


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