【短】恋ごころ
「何?」
タクヤがそう言ってからまた数分経ってしまった。
何も言わないあたしにタクヤの視線を感じる。めんどくさそうなため息を吐き捨てたタクヤはまた新たなタバコに火を点ける。
これ以上、何も言わないのは良くないと思ったあたしは、
「もしかして…ヤった?」
ゆっくりと息を吐き出しながら小さく口を開いた。
「は?」
もちろん突然の事で何の事か分からないタクヤはそう声を出す。
ゆっくりと視線を向ける先のタクヤはタバコを咥えたままあたしをジッと見つめてた。
「だ、だからイズミとヤったの?」
とうとう言ってしまった。
だって気になって仕方がないんだもん。
「は?つか何でそーなんの?」
「何でって…」
「だから何で俺とアイツがヤらなきゃいけねーの?」
「じゃあ、何もないの?」
「あるもないも何でアイツとそーなってんのか意味わかんねぇ」
「だって、噂ひろまってたし」
「つかマジ馬鹿だな。お前らの学校の奴ら」
そう言ってタクヤは呆れたようにタバコの煙を吐き出した。