【短】恋ごころ
「でもさ、タクヤ言ってたじゃん?あたしが誘うからだって。だから誘われてたら――…」
「それは明日美だからだろ?確かにあの女に誘われたけどよ何もねーよ」
あたしの言葉を遮って言ってきたのは、やっぱイズミが誘ったって言う事だった。
そりゃそーだよね。イズミだもんね、当たり前だよね。
でもタクヤの言葉に、
「ホントに?」
思わずタクヤの顔を覗き込んだ。
「あぁ。つか何でそんな話になんだよ?」
「だって、誘われた人とは絶対そー言う関係になるって思ってたんだもん」
「はぁ!?意味わかんねぇ…」
「だ、だって…」
「つか、あの男と一緒にすんなよ…」
「え?」
小さく吐き出された言葉の意味が全く分からなかった。
あの男って誰だろ。頭ん中はそう思うばかりで考えても一向に分かんなかった。
「つかよ、もーそう言う関係やめよーぜ」
「え?」
「だから俺と付き合えって事」
「タク…ヤ?」
「お前に思われたくねーもん。ただ寝るだけの男って言われたくねーし」
「いいの…?」
思わず俯いていた顔がスッとタクヤの方向に向く。
やっぱり端正な顔を見ると心臓がバクバクして止まりそうになかった。