【短】恋ごころ

「嫌なら別にいい」

「嫌なわけないじゃん」


そう言ったあたしにタクヤはフッと笑みを漏らした。

あたしに絶対見せなかった笑み。

いつからか忘れたけど久し振りにみた笑みがあたしの恋ごころを揺らした瞬間だった。


「けど俺正直、明日美を幸せにする自身とかねぇ。俺いい男じゃねぇし、こんな奴だから」


そう言ってタクヤはちょっと悲しそうな笑みを漏らす。


「タクヤはタクヤじゃん。だからそのままでいいよ。ずっと好きだったんだもん」

「まぁ、それは俺も同じだけどな」

Γ同じって好きって事だよね?」

Γじゃなきゃお前と付き合わねぇよ」

Γありがと」


思わず嬉しさが込み上げあたしはタクヤに抱きついた。

咄嗟に抱きつかれたタクヤは身体を傾けながらあたしを支える。


Γつか、お前。ここでは誘うなよ。アイツと違って野外は無理だから俺…」


思わず顔を上げたあたしにタクヤは口角を上げる。

手に持っていたタバコを咥えるタクヤに、


Γねぇ、さっきから気になんだけどアイツって誰?あの男って誰?」


口にするあたしにタクヤはタバコを咥えたままクスクス笑った。


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