大嫌いだから、ね?(短編)

 私が住んでいる住宅地と、彼がすんでいるマンションの間には公園があって、学区はそこから別れていた。



 だから、小学校の間は平和だった。



 幼稚園のときみたいに、意地悪されることはなかった。

 なるべく、彼がいるときは公園では遊ばないようにしていたし、みかけても命がけでダッシュして逃げたから。

 たまに、それでもつかまって・・・よくいじめられたりもしたけど。

 中学校になると学区が一緒になって、同じ中学校になる・・・そうおもうと恐ろしくて、中学受験なんかしたりした。

 お母さんは受験したいと自ら志願した私に驚いたりもしていたけど、喜んで、受験させてくれた。

 根性で、合格。

 ばら色の女子中学生活だった。

 そういえば、学校帰りに一度、彼に遭遇したことがあった。

 また、いじめられると思い、鞄をたてにして、震えている私を、真上から見下ろして、彼はいった。



「逃げたな、おまえ」
 

 はい、にげました。


 
 
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