大嫌いだから、ね?(短編)
「おれの、こと、おぼえてる? 海老原光だけど」

「わ、わたし!」



 やっぱり、光くんだ。

 でも、でも、私は思いっきり、首を振った。

 現実諸共、否定するつもりで。



「いいえ、ぜんぜん、おぼえてませんし!

 当然、しりません!」



 言い捨てて、ダッシュで逃げようとした私の手首をしっかりと、光くんはつかんだ。

 痛いよ!



「憶えてないなら、思い出させるし。

 知らないなら、教えてやるよ」



 声音はとても優しく、笑顔さえ浮かべていたけど・・・



 やっぱり・・・

 私には悪魔のささやきと、笑顔にしか見えなかったんだ。

 
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