大嫌いだから、ね?(短編)
2
長袖の袖をめくってみると、くっきりと赤い指の跡。
見ているだけで、涙がにじんできそう。
でも、泣かない。
ちっちゃな子供じゃないんだから。
講堂では入学式が始まっている。
理事長先生がお話をされているが、ちっとも耳に入ってこない。
集中できない。
これから、どうしよう。
なんで、光くん、この高校に入学しているの?
あの時・・・
手首をつかまえられて、私は逃げることができなかった。
「陽菜だよな? 間違いなく。
間違えるつもりないけど、その態度、相変わらずだし」