大嫌いだから、ね?(短編)

 長袖の袖をめくってみると、くっきりと赤い指の跡。



 見ているだけで、涙がにじんできそう。

 でも、泣かない。

 ちっちゃな子供じゃないんだから。



 講堂では入学式が始まっている。

 理事長先生がお話をされているが、ちっとも耳に入ってこない。

 集中できない。



 これから、どうしよう。

 なんで、光くん、この高校に入学しているの?

 

 あの時・・・

 手首をつかまえられて、私は逃げることができなかった。

 

「陽菜だよな? 間違いなく。

 間違えるつもりないけど、その態度、相変わらずだし」
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