大嫌いだから、ね?(短編)
「あ、あのね・・・」



 勇気を振り絞って、声を出す。



「ん? きこえねぇ?」

「あ、あのね、手はなしてください」

「いやだね」


 即答されて、びっくりして目を見開く私。



「手はなしたら、すぐに逃げ出すだろ?」



 それは、逃げます。当然です。



「だから、はなさない」



 私の顔を覗き込むようにして、光くんははっきりといった。

 

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