大嫌いだから、ね?(短編)
 鞄もひろって、渡してくれた。



「あ、ありがとうございます」



 ぺこりと私は頭をさげた。

 優しい男の人もいるんだ・・・と思いつつ。



「平気だった? 怪我してない?」

「大丈夫です。ちょっと、痛かっただけで」



 私は心配させまいと、少し笑って見せた。

 彼も笑った。優しい笑顔だ。



「そうよかった、福田陽菜さんだよね」

「え? 名前?」



 なんでしっているの?

 きょとんとする私。



「だって、おれのあとに挨拶したよね? そのとき、先生が呼んでいたし」

「あ、そっか」



 納得。
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