大嫌いだから、ね?(短編)
 どうして、こうなっているんだろう?

 二人並んで歩いている。



 光くんと、私。


 ぼそっと、光くんがいった。



「おまえ、歩くの、おそい」

「む」



 いわれて、すぐに早足で歩き出そうとした私をあわてて、光くんがとめた。



「ちょっと、まて。

 別に急いで歩けって意味じゃないから。

 普段はゆっくり歩くのにーーー逃げ足だけは速いっていいたかっただけ」

「それは」



 逃げ足もはやくなりますってば。

 つかまったら、いじめられると思えば。



「おまえのなかで、おれってどんなやつ?」



 唐突に、光くんが問いかけてきた。

 
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