大嫌いだから、ね?(短編)
 光くんを見上げていうと、彼はかすかに笑った。

 

「女って・・・やっぱり、花のほうが好きなのか」



 なんとなく納得しているふうの光くん。



「そういえば」



 私はふいに思い出した。



「桜が終わると、今度は地面に一面クローバーが咲くんだよね。

 五月くらいかな? 

 幼稚園のとき、ここで一緒に四葉のクローバー探したことあったよね。

 憶えてる?」

「ああ」



 なんとなく、ばつが悪そうにそっぽむく、光くん。

 それはそうでしょう・・・だって。



「私がやっと見つけたクローバー光くんが取っちゃったんだよね」




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