大嫌いだから、ね?(短編)
 ひたひたひた・・・・。



 後ろから足音が聞こえてくる。



 こ、こわい。



 なんだか、早足になって近づいている気がする。



 思わず、駆け出す私。

 後ろからの足音も私を追うように走り出した。



 こわい、こわい、こわい。



 でも、どんどん足音が近くなって、すぐに



「きゃあ!」



 手首をつかまれた。

 

「きゃあ、きゃあ! はなして! ん!」



 強い力で悲鳴を上げかけた口をふさがれた。

 もうパニックで手足をばたばたさせて、あばれる。


 そのとき、


「ちょ! 落ち着けって、陽菜!」

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