友達でいたかったの【短編】
やっぱり聞き違いなんかじゃなかった。
沙羅は初めて俺のことを『タケ』と呼んだ。
竹島だから、『タケ』。友達は男女に関わらず先生さえも俺のことをそう呼んでいた。
でも沙羅だけは『こーちゃん』だった。
俺がいくらやめろと言ってもきかなかった沙羅が、頼んでもいないのに、俺を『タケ』と呼んだ。
…なぜか、胸の奥がチクリと痛んだ。
このときはまだ、この痛みがなんなのかなんてわからなかったけど…。