友達でいたかったの【短編】



その日の帰り道。



昨日から降り続く雪は積もって、歩くと一歩、一歩ギュッと雪がひしめく音がした。



俺が玄関を出ると、すぐ前にもうひとつギュッ、ギュッっと、雪を踏みならす音がした。



黒いコートに地毛なのに少し栗色がかった髪がよく映えている。



俺は雪で足元がすべらないように気をつけながら軽く足早にかけよった。



「沙羅!」



その背中はピタッと一瞬止まったあと、俺が追い付くのを待たずにさっきよりもゆっくりと進み始めた。



「沙羅!」



俺が肩を掴むと沙羅はちょっとだけ振り向いて…ちょっとだけ微笑んだように見えた。



「タケ、帰るの遅いんだねわたしは今日面談だったの」



ハァと少し赤くなった手に息をかける沙羅。



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