友達でいたかったの【短編】
「もう前の呼び方に戻してもいいぞ。

お前、ゆりなに遠慮してたんだろ?」



俺のその言葉に、沙羅は長いまつげをパシパシさせたあと、照れたような、怒ったような顔をして下を向いた。



そして何も言わずに前を向いて、ザクッザクッと雪を踏みながら早足に歩き出した。


「おい、沙羅!」



俺もまた足早にかけだして次は沙羅の隣に並んで歩き始めた。



「なんか怒ってんの?」



「べつに、なんにも」



「怒ってんじゃん。俺、何かした?」



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