友達でいたかったの【短編】
*5
「ねぇ、数学の宿題やって」
いつものように隣の席から俺を見上げる沙羅。
「はぁ?なんで俺が」
「前に1000円貸したとき、なんでもするって言ったじゃん」
「宿題は自分でやらなきゃ意味ないんですよー」
沙羅は不敵ににやっと笑うと
「じゃ、よろしくね」
と言って俺にノートを押し付けてどこかに行ってしまった。
「ったく、しゃぁねぇなぁ」
沙羅は相変わらず強引でちょっと変わっている。
ドアのほうに目を向けると、ゆりなと楽しそうに話す沙羅がいた。
なんだか沙羅には利用されてる感がしたけど、あの笑顔を見ると「まぁ、いっか」と思ってしまう。
窓の外に視線を移すと、ちらちらと雪が降り続いていた。
‐そういえば、もうそろそろ卒業かぁ。