友達でいたかったの【短編】
「明日、卒業式だね」
「だなぁ…」
「こーちゃん、さみしいの?」
沙羅は隣の席でにやにやしながら俺を見上げる。
「さみしくねぇよ」
「泣いたら携帯で撮っちゃうからね」
‐ってゆうかほんとは今日学校来た時点で泣きそうだったんだけど…(笑)
沙羅は友達に廊下から『帰るよ』と声をかけられて慌ててコートを着た。
「じゃぁまたあしたね、こーちゃん」
「おぅ」
今まで何度も何度も繰り返された言葉。
この言葉が聞けるのはもしかしたら明日で最後なのかもしれない。いや、あるいは今日で…
「…沙羅!」
「ん?」
廊下に向かっていた沙羅は慌てて少し振り向いた。
「あ…いや…。じゃぁな」
「うん、ばいばい」