友達でいたかったの【短編】
-寒ぃな…
だちと別れたあと家に向かって歩く俺の足が止まったのは、沙羅の家へと続く曲がり角だった。
いつも沙羅が「じゃぁ、私こっちだから」と呟く曲がり角。
積もったばかりの雪の上には小さな足跡が1つ残っていた。
俺は沙羅を送ったときみたく、こっそりあとをつけたときみたく沙羅の家へと続くその道をたどり始めた。
-あしたからの俺の日常に沙羅はいないんだな。
入学して教室のドアを開けても沙羅はそこにはいない。
隣の席を見ても沙羅はいない。
きっと出席番号順だから、佐藤とか多田とかっていう苗字の女が座ってるだけなんだろう。
俺を「こーちゃん」と呼ぶあの声を聞くことはできない。